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2007年10月25日 (木曜日)

【NHKスペシャル】ポアンカレ予想

NHKスペシャルが「ポアンカレ予想」を証明したロシア人についてやってました。
それをネットで知って昨日再放送してたので、それを見ました。
難しい話をCGを駆使してわかりやすく説明してました。

100年の難問はなぜ解けたのか~天才数学者 失踪の謎~

以下に書いてあるのは私なりの理解です。

ポアンカレ予想ってのは、宇宙が丸かったら(空間的に穴とか無い)宇宙を一周させたロープの両端を引っ張ったら引っかからずに戻ってくるはずだ。というものです。

丸かったらというのはトポロジーでの意味で、トポロジーでは例えばサイコロみたいな立方体もボールみたいな球も「丸い」(という言い方は変かもしれんが、等価という意味で)、穴が一個開いてる(ドーナツとか通常のティーカップ。持ち手が付いてるやつ)は同じ形と見なします。

2次元だったら直感でわかります。
まず、板の上でロープを投げる。
そのロープの両端を持って引っ張れば引っかからずに回収できます。
途中に柱を立てればそれに引っかかって回収できません。
この柱は2次元的には空間の穴です。

で、3次元だったらどんな形がロープがひっかからない形なのか?が問題だったわけです。

これ、数学の問題ですから実際の宇宙の形がこれでわかるわけではありません。

ポアンカレ予想の証明は幾多の数学者が挑んできましたが、なかなかうまくいきませんでした。
2次元はすぐ証明できる、でも3次元の証明ができなかったんです。
あらゆる立体をどう検証すればいいか見当もつかなかったので。

それで、違うアプローチが試みられます。
3次元を飛び越えて、4次元、5次元といった高次元からのアプローチです。
数学的概念ですから、こんな立体が実際にあったとしても人間に知覚できるとは思えませんが、こちらの証明は意外と容易でした。
何せ、3次元でロープが引っかかるような形状でもロープがすり抜けてしまいますから。
これは、道路の立体交差を思い浮かべてください。
高低差を描いてない地図ではこれはただの交わった線ですが、実際にはその交わったところで車が衝突することなく走ってます。
そんなわけで、高次元から3次元へのアプローチが始まりました。

これはうまくいって、4次元まで降りてきました。
でも、ここから先に進めなかったのです。

ここでまた停滞しますが、新しい概念が登場します。トポロジーです。
トポロジーは上で説明したようなものです。

宇宙は3次元ですから、その範囲内でどんな形でも取りうる可能性があります。
通常の微分幾何学(三角とか四角とか。面積や体積の公式はモロ積分だとわかりますね)では形状の分類の数が膨大すぎてちょっと無理。
で、トポロジーです。
トポロジーは立体の特徴だけで分類するようなもんですから、非常に類型化がしやすい。

これを使って宇宙の取りうる形を8つに分類した人がいました。
しかし、この8つを作り出した人は、それを宇宙が取りうるかは証明できなかったのです。
どんなパラメータを使えばその形が導き出せるかわからなかったと。

そこにロシアの数学者グリゴリ・ペレリマンが登場しました。
彼は宇宙の物理法則に注目しました。
宇宙のエネルギーや温度、エントロピーというものは上限下限がわかってます。
その範囲内で変動する形を計算してみせたのです。
しかも、パラメータ変動はある範囲内ですから、微分幾何学が使えます。
こうして、数学上の問題なのに数学者には解けない証明ができあがりました。
しかも、彼は何故か査察のある論文として出さず、インターネットのarXivに投稿しました。
その後数年をかけて精査され、誤りは無いと見なされ、これでポアンカレ予想は証明されたと見なされました。

宇宙に空間的な穴や迂回路が無ければロープは引っかからないという、普通に考えれば当たり前のことを数学的に証明するのはかくも難しいという話でした。

一つの証明にいろんなアプローチが試みられ、その中で成功したものだけがこうやって一般の目に見える形で現れるのでしょう。
幾多の消えていったアプローチがあるんでしょうね。

この功績でペレリマンはフィールズ賞を受賞しました。
大雑把に言えば数学界のノーベル賞です。

でも、彼は受賞を辞退してサンクトペテルブルグに引きこもってるらしいです。
もともとは明るい社交性のある人だったのが、この証明のために何年も篭った結果、人嫌いになったようです。

サンクトペテルブルグってどこだろう?と思ったら旧レニングラードなんですね。
こっちの名前で覚えてるのもどうかとは思うんですが(笑)

で、NHKスペシャルでは現地へアメリカの大学時代の恩師が訪ねていくも、電話のみでしかも少し話して切れちゃった、というオチでした。
しかし、これで「失踪」はないんじゃないの?
アパートには滅多に帰ってこないことと、電話で音信は途絶えてないことを考えると、大学の講師なんかを渡り歩いてるんじゃないかと「勝手に」思ってしまうんですが。

全体的には科学番組としていいものだと思いましたが、「学者は風変わり」という前提で作ってる感は否めませんでした。

さて、ポアンカレ予想はミレニアム懸賞問題という、一つ解決できたら100万ドルという凄い問題の中の一つだったわけですが、残りはこんなのがあります。

・P≠NP予想
・ホッジ予想
・リーマン予想
・ヤン- ミルズ方程式と質量ギャップ問題
・ナビエ-ストークス方程式の解の存在と滑らかさ
・バーチ・スウィンナートン=ダイアー予想

この中で興味があるのはリーマン予想で、これが証明されたら素数の数とパターンがわかるようになるから、現在よく使われているRSA暗号が骨抜きにある可能性があります。
ナビエ-ストークス方程式の一般解が見つかれば航空機の形状の自由度が飛躍的に上がったり思いも寄らない形状になるかもしれません(もちろん一般解など無いという結論が出るかもしれませんが)
この懸賞問題は一つでも証明されたら科学的に大きな前進が期待できるので、現在、未来の数学者がいつまでも取り組むことでしょう。

正直100万ドルなんて瑣末なことですからね。
ノーベル賞と同じで「永遠の名誉」が得られますから。

そういえば、リーマン予想を調べると「スキューズ数」というのが出てきます。

スキューズ数

私がおぼろげにも知っていたのは第一スキューズ数ですが、これはリーマン予想が正しいとして、その予想が示すあるある数xまでの素数の数よりも実際の素数の数が大きくなるという点です。
これが発見されるまでは、いつまでも予想の数の方が多いと思われてました。
このスキューズ数はWikipediaによれば10の10乗の10乗の34乗にほぼ等しいということです。
もう何桁なのか考えるのもバカらしいですね。
そりゃあ、数学的証明でないと無理だわ。


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