【鬼太郎】第64話 時間差トリック
しかばね村と呼ばれている鹿羽村(しかはむら)で、一人の若い女性が死にました。
総合病院に安置されていたのですが、突然顔から布が落ち、まぶたが動きます。
ナースは死後硬直だと落ち着こうとしますが、まぶたが痙攣するどころか目が開いて起き上がり、あまつさえ宙に浮きました。
ナースの悲鳴を聞いた院長は、ナースたちを外へ誘導します。
建物内部を歩き回った死体は外への扉を見つけますが、扉は鍵や鎖で厳重に封印してありました。
恐ろしい勢いで扉を叩く死体ですが、外に出る事はできません。
幽霊と違って実体だからな。
院長はこのことを予想していたようで、そのためにこの封印も用意してました。
一番鳥が鳴くと死体は安置所に戻っていきました。
この村には死人つきの言い伝えがあったのです。
それを妖怪ポストの手紙で知った鬼太郎は鹿羽村に向かいました。
前にも同じようなことがあって行ったことがあるようです。
村の病院へ向かうバスの停留所案内のアナウンスは「次は、シカバネ総合病院前」です。
本当にこれでいいのか?
乗っていた若い男がムッとしています。
降り際に、運転手に「しかは」と読むんだ、と修正を申し入れました。
バスの運転手は面食らってますが、今まで一度もクレームが無かったんでしょうか?
若い男は、院長の息子の泰造でした。
最新医学を学んで、跡を継ぐために帰ってきたようです。
ナースたちに「これ、なんだかわかるかな?」と一つの機械を見せます。
「名刺入れじゃないよ」というのは誰が見てもわかると思いますが、私はipodモドキだと思いました。
ところで、中指の根元がすごく不思議な人ですね。
あらゆる生体細胞の状態が判別できる装置なんだそうです。
これを医大時代に開発して特待生に選ばれたらしい。
最新医学でこの病院を発展させて、迷信に縛られた村の改革をするのが夢のようです。
それを聞きながらナースがヒソヒソと話しているのは例の死人つきです。
死体は村長の娘で、事故で亡くなったんですが、集中治療中から兆候があったらしい。
死体の顔には封印のお札が貼ってあるのですが、それを見て泰造は笑い出します。
泰造も子供のころから死人つきの話を聞いていて、それによると日が暮れると地面の下に住んでる魍魎が人間の死体に乗り移って仲間のところへ帰ろうとするんだそうな。
魍魎は死体が欲しいのかな?50年ぶりのことだとか。
迷信だ!と怒る泰造。
しかし、婦長は動いてるのを見た者がいる、となかなか譲りません。
泰造は死後硬直か、先入観による集団幻覚だろうと結論付けます。
先ほどの細胞判別装置でも細胞は死んでしまってます。
それがわかるってのは凄い機械だな。
特待生どころかノーベル医学賞狙えるんじゃないか?
だが、泰造は特異な反応が出ているのを見つけます。
その死体は、ケルクオール細胞という医大時代にずっと研究していた新種の細胞の持ち主だったのです。
この細胞を持っていると通常の何倍も内臓の治癒機能が強く、六千万人に一人の割合でしか発見されていないのだとか。
ということは、世界で百人ちょっとか。
これを研究して有効利用できれば、癌や内臓疾患の治癒技術が大きく前進するはずです。
泰造は、村長に是非献体してもらうように働きかけてくれと院長に訴えますが、院長は死人つきだからと拒否します。
死体の処理を間違うと、夜毎妖怪が訪れるようになってしまうんだと。
この科学の時代に医者である院長でさえそんなことを言うのかと憤る泰造ですが、院長はこの世には理屈で解明できないものがある、自分の親たちも体験したし自分も見た、と主張を変えません。
専門家を呼んだというのは鬼太郎のことですね。
そう言われても泰造が納得できるはずがありません。
自分で村長に頼みに行きますが、村長は首を縦にふりません。
寺の住職にも頼みに行って断られてますが、これは死体をこっそり掘り返すことでも頼もうとしたのでしょうか?
どうにもうまくいかなくて、飲んでたジュースの空き缶を蹴りつけると、まっすぐ鬼太郎の顔に。
もちろん鬼太郎は受け止めて「危ないなあ」と。
「子供にでも当たったら大変だよ」と言われても、泰造の目には鬼太郎は子供にしか見えないので意味がよくわかりません。
鬼太郎も、そう言われてようやく自覚したようです。
実際には数百年生きてるみたいだしな。
謝って去っていく泰造を見て、悪い人間ではなさそうだが、後先を考えて行動するタイプではなさそうだと結論付けます。
鬼太郎なりの情報収集か?
寺に着いた鬼太郎は、さきほどの青年が、院長の息子だと聞かされます。
同行しているねこ娘は正座が非常に辛いようですが、慣れてないのかな?
迷信だと信じない泰造に院長も村長も困っているようですが、鬼太郎は一度味わえばわかるだろうと言ってます。
確かにそうだろうが、他に方法はないのか。
そこで茶を出してくれたのが、なんとねずみ男。
行き倒れてたところを住職に助けられ、仏教に帰依したとか言ってます。
まるっきり信じないねこ娘ですが、痺れてる足をつつかれて逆襲されました。
それを見た鬼太郎は、「やはりねずみ男も妖怪ってことか」と呟きます。
つまり「類は友を呼ぶ」で、魍魎の類が出てきているのです。
ちなみに、今回のねこ娘も新しい夏服を着ています。
タンクトップにTシャツ、ホットパンツにニーソックスか?
病院ではナースたちが帰ってます。
死人が歩くようでは夜勤も何もないしな。
新人が一人だけ夜勤を引き受けたので皆帰れるようですが、ここに入院患者はいないんでしょうか?
その新人に誰も心当たりないのに何もしようとしないのは凄いですが。
その「新人」というのはねこ娘です。
新しいコスプレですね。
泰造は病院に残って細胞の研究をしています。
献体はできなくても、病理解剖と理由を付ければ細胞片ぐらいは取れるのか?
いや、それも遺族の同意が必要のはずだ。
死因が病気じゃないから標本もあるわけがないし。
違法のニオイがギュンギュンします。
20時になっても何も起こらなかったので、やはり迷信だと笑う泰造ですが、突然顕微鏡内の細胞が活発に動き出し、発光現象さえ見せました。
安置室のカメラを見ると死体が消えています。
急いで安置室に行きますが、あくまでも幻覚だと言い聞かせてます。
が、急に扉が閉まったと思ったら天井に死体が張り付いてました。
正しく呪怨タイプのジャパニーズホラーです。
動いてるってことは、お札は全く役に立ってないんだな。
襲われたのを救ってくれたのはねこ娘でした。
サマーソルトとか身軽だなー。当たり前だけど。
ねこ娘と泰造はあらかじめ書いていた八角円に逃げ込みます。
この中にいる限り、死人にはこちらが見えません。
そのまま朝を待つと、一番鳥の鳴き声を聞いた死人が急いで安置室に戻りました。
死体に戻った死人の前で「医学的にありえない」とまだ信じていない泰造に「でも、君の目で見ただろう」と鬼太郎。
鬼太郎とオヤジは自己紹介します。
鬼太郎はともかく、目玉のオヤジを見て妖怪がありえないと思う人はいないので、さすがの泰造も納得します。
お宝のニオイをかぎつけたねずみ男が寺の部屋に忍び込むと、そこには不気味な塊がありました。
50年前に住職を襲った魍魎の成れの果てです。
当時は住職も妖怪の存在を信じてなかったのですが、鬼太郎によって助けられたのだそうです。
それでも、あの細胞を研究できないのは嫌だと走り出す泰造でした。
それを追いかけようとする院長を鬼太郎は引き止めます。
先回りをして目の前に立つ鬼太郎に、「これは病院が有名になるチャンスなんだ」と力説する泰造ですが、鬼太郎は「人の死をチャンスにするなんて感心しないな」と返します。
しかし、医者であれば死体や症例からいろんな成果を引き出すもんだろう。
倫理に反しない限りで、動機はどうあれ成果が出せるのなら素晴らしいことだと思いますが。
泰造は、自分の村がシカバネ村などと呼ばれて都会と断絶してることに我慢ならないようです。
泰造なりにこの村を発展させたいという強い気持ちがあるのです。
それを聞いた鬼太郎は賭けを提案します。
一人で夜を乗り切れば、泰造の思うようにしていいと。
でも、「今日の夜はハンパじゃない」そうだから、まあ無理だろうな。
「人間には危険すぎる」と心配するねこ娘ですが、「泰造君が自分で決めたことだ」とにべもない鬼太郎。
泰造は「朝まで八角円の中」作戦でいくようです。
死人が動き出したことを察知した泰造は安置室を覗いてみますが、死人は犬のように遠吠えをしています。
死人の中の魍魎は、この死体が凄く気に入ったようです。
人間にとって魅力的な細胞は魍魎にとっても魅力的なのか。
絶対に持ち帰るために、仲間に迎えにきてもらうことにしました。
病院の中も外も魍魎だらけです。
泰造は必死で八角円に逃げ、「幻であってくれ」と震えてます。
死人と魍魎は八角円のある部屋に入ってきました。
泰造が八角円の影響で見えないのもわかってるようなので、八角円なんて包囲されるためだけの存在ではなかろうか。
魍魎は土精に見てもらいますが、「見えん」と言われます。
それを聞いて安心した泰造ですが、まぶたをもちあげられた土精は八角円の中心の泰造を見つけ出しました。
ジリジリと寄ってくる魍魎に耐え切れず助けを求める泰造。
「だったら、賭けは僕の勝ちでいいんだね」と鬼太郎の声が。
魍魎は鬼太郎を取り囲みました。
魍魎が八角円や朝に弱いことを教えたのが鬼太郎だと知って怒っているのです。
「朝までには時間がある。一番鳥が鳴いていないからな」と余裕の体勢だし。
周りの魍魎を見ながら「追いつめられたのはお前たちのほうだ」と平然と言い放つ鬼太郎。
「時計を止めておいた」「一番鳥も鳴かないようにしてもらった」ということで、鬼太郎が指笛を吹くと窓を塞いでいたカラスがいっせいに飛び立ちました。
強烈な朝日を浴びて溶け崩れる魍魎。
もし、一匹でも生き残っていたら、どこからか仲間を呼び寄せるので、必ず全滅させないといけないようです。
朝になると逃げる魍魎というのは怪談の定番で、今回のように一番鳥を鳴かないようにしてわざと朝を迎えさえて倒すのと、魍魎が幻聴で一番鳥の鳴き声と朝日を見せ、安心して出てきた人間をさらうのと、両方のタイプがありますね。
しかし、魍魎って時計止められると時間がわからないのか。
体内時計とか無いんだろうか?
なんか、クオーツの時計に騙される古くからの魍魎って物凄い違和感があります。
「これでわかっただろ。迷信にも迷信なりの理由があるってことが。まだ研究するつもりかい?」と聞かれた泰造は、諦めの表情を見せました。
それを見て満足そうな鬼太郎です。
ねずみ男は結局横丁に帰ってきました。
「無理!」なんだそうです。
鬼太郎はなんで泰造にあんな無茶をさせたんだろう?と思うねこ娘ですが、オヤジは「わかってほしかったんじゃろうな。彼が故郷に劣等感を感じていることを知って、この世には人間の手に負えないことがたくさんある。それを末永く言い伝えているシカバネ村は決して恥ずかしい故郷なんかじゃない。むしろ逆だということをのう」と、風呂に浸かりながらしみじみと答えました。
病院ではナースが死人つきの怖さを話し合っていましたが、泰造が「迷信の話もたいがいにしたまえ」とたしなめます。
もっとも、「迷信にも真実が隠されてることもあるけど。ね」とナースには聞こえないように呟いて去りました。
鬼太郎の第二期にこういう因縁話って多かったかな。
次回はねこ娘大活躍!です。
表題は「あたしィィィの赤ちゃあァァァん!」を使いたかったのですが、前に使ってるので別に何か考えないと。
ところで、東映のサイトにご当地妖怪人気投票があります。
私の地元は徳島県ですが、子泣きじじいと夜行さんはわかります。
が、金長狸は妖怪じゃないと思う。
私が子供のころは徳島の狸の話をまとめた本を読んだものですが、今の子供は読むんだろうか。
非常に面白いですよ。
祠を持ってるのは金長狸だけじゃないですしね。
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コメント
ちなみに、もうりょうの夜の原作は、
死人つきですが、
死人つきの原作は、異形の者。
異形の者の元ネタは、ロシアの怪奇小説、ヴィイですね。
投稿: 土精 | 2008年9月21日 (日曜日) 00:14
>土精さん
なるほど。
少し調べてみました。
元にしてる原作があって、その原作にもモトネタがあるってわけですね。
翻案といえばいいのかな。
江戸川乱歩なんかがよくやってる手法だと思えばいいでしょうか。
個人的には自分の時間が危険になる気がしますが、そこまで追っていくのも大きな魅力がありそうです。
投稿: ヴィー | 2008年9月21日 (日曜日) 02:25